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シマダノメ

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シマダノメ 第11回 深掘りインタビュー 寺岡真弘選手

『シマダノメ 深掘りインタビュー』の第11回目は、長野での2年間を経て、すっかりたくましくなって北九州に帰って来たDF5寺岡真弘選手の登場です。なぜ『怒れる鬼軍曹』なのか、その理由について深掘りしていくと、いろんなことが分かってきました。ちなみに普段の寺岡選手は気持ち穏やかなナイスガイです(取材日=2019年7月31日)。

―先日の『ギラヴァンツサマーフェスティバル2019』はいかがでしたか?初体験だったのでは?
長野にいた時にアウェイチームとして経験済みなんです。その時はたくさんのお客さんの前でプレーできるということで「おっ~」ってなりましたね。それを一度経験していたので、ギラヴァンツの一員としては今回が初めてだったのですが、変に緊張することもなく、良い雰囲気を楽しみながら集中して試合に入れました。
―そのギラフェスと銘打って行われた第18節のカターレ富山戦は1-1で引き分けたわけですが、なかなか勝利に手が届かない今のチームの現状をどう感じていますか?
想定していました。そんなにうまくいくわけがないんです。どこかでそういう時期が来るだろうと思っていました。
―この状態の中で、ご自身が、またチームとして何をやるべきだと考えますか?
チームとしてブレてはダメだと思うんです。いま結果は出ていないけれども、監督が言うことをきちんとブレずにやり続けること。あとは個人的には試合の流れを読める選手がどれだけ増えるか、増やせるかが大事だと思っています。特に真ん中、ボランチのリュウ(川上竜選手)やソウヤ(藤原奏哉選手)にそういう力を身につけてほしいし、期待しているんです。試合の流れを見ながら「ここは少し引こう」とか「ここは前に出て行こうぜ」といった声をピッチのみんなに伝えられるようになってほしい。
―それを寺岡選手が伝えるのではダメなのでしょうか?
一番後ろにいる僕が大きな声を出しても前の選手には届かないんです。逆に前の選手が「ここは一気に前から圧力掛けたいから、後ろも押し上げてほしい」というような声が僕のところまで届かない。だからピッチの真ん中にいるリュウやソウヤが前と後ろの調整役になってほしいんです。そして調整するということは単なる伝達係ではダメなわけで、自分の判断をベースに調整してチームの方向性を決められるようにならないといけないんです。
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―では、期待を込めて川上選手や藤原選手には強めの言葉で要求をする?
例えば八戸戦(7月20日の第17節)は、1点をリードしながら終盤に追い付かれたわけですが、その失点は、ボールを取った、取られた、取ったの状態が何度か続く中、ソウヤが出したパスをカットされてから食らったカウンターからのものでした。1-0で勝っている、あるいは両チームともに間延びしている状況、そういうシチュエーションから「1回相手陣内の深いところにボールを蹴ってラインを上げる」という判断があってよかったかな、と。あの時、僕はソウヤに「自分のところに落とせ」とボールを呼んでいるんです。そうすれば僕が相手陣内の奥に蹴り出して、その間に自分たちの態勢を整えられると思ったからです。もちろん、攻める姿勢は大事だし、チームとしてもそういう前向きな考えでやっているから、ソウヤのボールを前につないで攻撃につなげる、という考えも分からなくはない。でも勝っているし、時間も残りわずかだということを考えると、やっぱりもったいない判断だったと僕は思うんです。
―藤原選手にとっては、今後に向けた良い教材になる?
あの試合が終わった後のロッカールームで僕はソウヤにかなり怒りました。ソウヤは練習の時からそういうプレーが多かったので「練習でできないことは試合ではできないし、練習で出てしまうミスは試合でも出てしまうものなんだ」と。でも「このミスを良い経験にして、流れを読める選手になってくれよ」と話しました。
―シーズン序盤からここまでの小林伸二監督の選手のチョイスを見ていると、チームの成長と変化に応じて、起用する選手を代えているように思います。つまり、選手はチームの成長に合わせて変化をしていかなければ出場機会を手にできないのではないか、と。寺岡選手は定位置を今後も守っていく上で、自分にはどういう変化が必要だと考えますか?
戦術的な部分の理解度は高い方だと思っています。だから監督が言うことも理解できます。だから高めなくちゃいけないのは、やっぱりメンタルの部分ですかね。
―戦術に関して自信があるのはなぜでしょうか?
それは昔から個人戦術、グループ戦術に関して指導を受け、自分も意識して考えるようにしていたからです。ヴィッセル神戸のユースでプレーしている時には、いま富山の監督を務めていらっしゃる安達亮さんから「こういう場面ではディフェンダーは寄せなければいけない。なぜかって言うとな…」というように、論理的に戦術を教わり身につけていきました。そういう戦術は「トップチームの選手なら知っていて当たり前だ」と言われれば、こっちはトップに上がりたい一心でやっているから、そりゃ、一生懸命に覚えようとしますよね。
―先ほど話に出た強靭なメンタルを身につけるためには何をどうすればよいと思いますか?
メンタルだけではなく、戦術面、技術も含めて、選手に必要な能力のすべては練習で高めるしかないし、練習で良いパフォーマンスを見せている選手が試合に出るべきだと思っています。だから、僕の場合で言えば、ジン(生駒仁選手)もケガから戻ってきたし、タカシ(河野貴志)も課題の攻撃面の能力を高めようと必死に練習をしているから、今は自分が監督にチョイスされているけれども、これからどうなるか分からないから、僕も練習で100パーセント、全力を出し切ってプレーすることに努めています。練習でヘンなプレーをしていたらポジションを奪われる。その危機感は常に持っています。あとは、人に厳しく言う分、自分にも厳しくあることも心掛けています。
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―「練習から100パーセントの力を出す」という考えがあるから、練習時に味方に強い言葉でアドバイスを送る、怒る、というふうになると思うのですが、“全力練習"の考えはいつごろから持つように?
プロになった当初と比べるだけでも、今の方がさらに集中して臨んでいると思います。
―練習により集中力をもって臨むようになった、きっかけは?
僕は正直サッカーをプレーするより見る方が好きなんです(笑)。いまはイングランドのプレミアリーグが好きなのでよく試合を見るのですが、その中でも特にマンチェスター・シティに注目していて、その監督を務めるペップ・グアルディオラさんの戦術を理解するために試合を見る、ニュースを聞き、記事を読む、ということをやっていると、あの素晴らしいサッカーも練習がすべてなんだと理解できたんです。トップトップの選手が自分の出場機会を得るために練習で100パーセントの力を出し切り、いざポジションを勝ち取って試合に出たら、今度はチーム全員で協力して勝利を目指している。考えれば当たり前のことなのかもしれないけれど、勝手なイメージとしてワールドクラスの選手の練習って、コンディション調整に重きを置くもんだと思っていたから、そうじゃないと知った時の衝撃がデカ過ぎて。ああいう人たちが練習で100パーセント出し切っているのなら、僕らならなおさらのこと。それからですかね、練習での集中力が高まったのは。
―プロになってから昇格争い、上位争いをするのは初めての経験だと思うのですが、やはり緊迫感を持って試合に臨んでいるのでしょうか?
充実はしていますが、緊張はしない。試合に入るところでのメンタルは気を配りますが、いつもすんなり試合に入っていけます。どの試合も同じように取り組めます。
―冷静なんですね?
冷静に努めようとは思っています。が、時々、ワァッ~ってなります(笑)。
―八戸戦だったと思いますが、試合中に國分伸太郎選手と、ものすごく激しい言い合いをしていませんでしたか?
あ~(笑)。僕がボールを持ち出した時に相手を食いつかせておいて、シンタロウ(國分選手)にも出せる状況ではあったのですが、リュウにパスを出すことを選択しました。リュウに出した時に、シンタロウについていたマーカーがリュウの方に食いついてシンタロウがフリーになった。それを見たリュウがシンタロウにパスを出し、シンタロウはそのパスをフリック(※ボールに軽くタッチしてボールの軌道を変えて味方へのパスとする)してイケさん(池元友樹選手)につなごうとした。でもそれが相手にインターセプトされた。意図的に相手を食いつかせてできたせっかくのシチュエーションだったのに、という惜しいという思いが僕にはあったし、シンタロウがフリックではなく自分でボールを受けてターンをしてシンタロウ自身が前を向ければ、いろいろな選択肢があったはずだと思ったので、「なぜターンしなかったんだ!」と強く言ってしまった。でもシンタロウはフリックしてイケさんとの細かい連携で崩しに行きたかったんだと主張するわけです。確かにフリックのアイディア自体は悪くないですし、その後のイメージもちゃんとあった上でのチョイスだったので、シンタロウの言うことも分かるんですが、でも僕はもうワァッ~ってなってるから後に引けなくて、お互いに言い合う、という状況になりました(笑)。
―確か、激しく言い合った翌日のイベントで2人は仲良くトークショーをしていましたよね?
ハハハ、確かに!試合中は試合中、練習中は練習中。そこで起こったことを後に引きずることは一切ありません。シンタロウがどう思っていたかは知りませんけど(笑)。
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―「きついことを言っちゃったなぁ」と後で後悔することは?
まったくありません!僕の中では、厳しく言っていることは、すべて勝利のため。今、ここで言わないと勝利を手にできないと思って口にしていることなので、悪いとも思わないし、後悔もしません。今だったら、新井に向けての言葉が一番多いですね。攻撃に関しては、もう少しクロスの精度が上がればなぁと思うくらいで、言うことはほとんどないのですが、守備に関しては言うべきことがたくさんある。特に新井が攻撃的な選手だと相手も理解しているので、新井の背後を狙うような攻撃を仕掛けてくることが多くなりました。もちろん隣の僕がカバーはするのですが、僕がカバーに行くことで僕がいるべき真ん中やほかの場所にひずみが出てくる。つまり、新井のポジショニング一つでチームとしての危険度を抑えることができるので、やっぱりそこは厳しく言って修正、改善、成長させるべきだと思うんです。
―厳しい言葉でレベルの高いことを要求する意図は十分に分かりました。その伝え方で気を付けることはありますか?
シンジさん(小林伸二監督)に言われるのは、「テラの言葉一つで、ヨシ、やろうという気になる選手もいるし、逆にシュンをとなっちゃう選手もいるんだよ」と言われるので気を付けるようにはしています。それとシンジさんに言われてハッと思ったのは「結局、テラの言い方によっては自分にも返ってくるんだよ。イライラして言っている時に、自分の集中力は切れている状態。そんな時に良い判断ができるか?」という言葉です。確かにイライラして味方に何かを言っている時に、ボールを持った相手が自分のところに向かってきて、判断が遅れて無駄なファウルをしてしまうということが何度かあるんですよね。
―今季は寺岡選手や岡村選手のセンターバックがボールを前に持ち出すことで、攻撃によい効果を生んでいるように思えます。そして、そういう場面を見ると、寺岡選手って技術が高い選手なんだなとも気づかされるのです。
ボールを持った時に前に持ち出すのは、監督の指示もあってのことです。技術があるように見えるのは、相手は自分の前からしか来ないし、後ろにキーパーも控えているという余裕があるからだと思いますよ。でも、あまり余裕を持っていると、藤枝戦(第13節スコアレスドロー)の時のように、相手に奪われてキーパーとの1対1の場面をつくられたりするんです。気を付けないと。
―ボールを持ち出す時に注意していることはありますか?
まず、俯瞰でピッチを見るようには心掛けています。川崎フロンターレの中村憲剛選手がよく言っているじゃないですか。平面で見るんじゃなくて、上からピッチ全体を見て、相手と味方の位置を把握して、どこにパスを出すべきか判断する、というようなことを。あれって、単なる言葉上のたとえではなくて、あのレベルの選手なら実際にそういう視点で見ることができるんだと思うんです。おそらくモトさん(本山雅志選手)もね。僕が同じように見えるようになるのは難しいけれども、そうなれるように努力することはできるので、そういう視点でとらえようと意識して試合に出て、特にボールを前に運ぶ時には、俯瞰で見る感じで、どこにスペースがあるかを感じながら前に行くようにしています。そのイメージを持って運ぶのと、ただ何も考えずに運ぶのとでは効果がまったく違うはずですからね。
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―ずっと隣でプレーしている岡村選手についてどう感じていますか?
全然違います。最後のところの体の投げ出し方や、そのためのスイッチの入れ方は本当に勉強になります。「これはオカさん、抜かれるんちゃうか?」って僕がヒヤっとしていても、足をうまく出してボールを奪い切る。そういうシーンが本当に多いんですよ。J2で何年も試合に出続けていた選手は違うんだなと実感しますね。
―岡村選手とはどういうコミュニケーションを取るのでしょうか?
2人だけで話すようなことはないのですが、それでもうまくやれています。オカさんがどちらかと言うと前に出て行ってつぶすタイプで、僕はカバーに回るタイプなので、プレースタイル上のもともとの相性がいいんだと思います。だから言葉はいらない。
―河野選手や生駒選手とのコンビはどうですか?
タカシ(河野選手)はオカさんと同じく前で勝負するタイプ。ジン(生駒選手)は前にも行けるしカバーもできるタイプなので、どちらも相性的には悪くないと思います。でも、ジンは、僕もそうなんですけど、マークをぼかしながらスキを見つけて寄せるプレーが多いのですが、僕と違って足が長いので、前に出て行けばボールに触れると思うから、「前に行け」とは言っているんです。
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―オフは何をして過ごしていますか?
家族と過ごす。それ以外はサッカーの映像を見ていますね。さきほど話したプレミアリーグの試合や、次の対戦相手の試合を見ています。
―対戦相手の映像はチームのミーティングでも見るのでは?
そうですが、それよりも先に見て自分なりに分析をする。そしてミーティングで答え合わせをするという感じです。「やっぱりね」とか「なるほど、そういう考え方もあるか」といった感じで。自分の答えと違った方が興奮するというか、勉強になるし、「新たな個人戦術として取り入れられた」という喜びがあります。まぁ、趣味みたいなものですよ。
―そういうところに興味を持つのは、将来的な道として指導者も考えている?
興味は持っています。育成年代の指導者というよりは、プロ、Jリーグの監督ですね。育成年代の指導者が尊いのは確かなのですが、僕の性格上、ガチガチの勝負の場の方が燃えられるような気がするんです。
―ここまで話を聞いてきて、一方向から物事を捉えるのではなく多角的な捉え方ができるのが寺岡選手なんだと感じました。今日の練習でも小林監督が「丁寧に!」と言った後に、とても興味深い言葉を周囲の選手に伝えていましたよね?
あ、あれですね。「丁寧に、と言われると、味方の足下にショートパスをつなぐ。そういうセーフティーで慎重なプレーをイメージするかもしれないけれど、『あそこのスペースが空いている』という積極的な判断を下して相手の背後に走った味方選手に対して、丁寧にロングパスを出すのも、丁寧なプレーだぞ」っていう、ね。
―頑固なようでいて実は柔軟な考えの持ち主。なぜ、そんな考え方になれるんでしょうか。とても興味がありますが、そろそろ話を締めないと。あっ、香川県出身だから、というのは……?
それは関係ないっすね、絶対に(笑)
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文・島田徹 写真・筒井剛史

(次回シマダノメ『深掘りインタビュー』の第12回目は8月末にアップ予定。登場する人物は?お楽しみに!)

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