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シマダノメ Season2
第8回 深掘りインタビュー
生駒仁 選手

シマダノメ Season2 第8回 深掘りインタビュー 生駒仁 選手

『シマダノメ 深掘りインタビュー Season2』の第8回は、リーグも終盤に入ったところで先発出場の機会を増やしたセンターバック、生駒仁選手の登場です。横浜F・マリノスからの期限付き移籍を延長、ギラヴァンツ北九州の一員として2シーズン目となる今季、開幕戦で先発を果たし、順調なスタートを切ったかに見えましたが、そこから苦しい道を進むことになりました。そこからどうやって這い上がってきたのか、その道程と、その間に磨いてきた武器について深掘りしてきました(取材日/11月18日)。

―11月1日に行われた第30節のツエーゲン金沢戦で9月5日の第17節・ヴァンフォーレ甲府戦以来となるベンチ入りを果たしました。久しぶりにメンバーに入った理由を自分ではどう捉えていましたか?

その前のレノファ山口とのトレーニングマッチでチームは1−3で負けたのですが、個人としては良いパフォーマンスを見せることができたことがメンバー入りの理由だろうなと思っていました。

―第17節の甲府戦、8月12日の第11節の金沢戦でもベンチ入りを果たしていますが、その時と第30節の金沢戦とは気持ちの上で何か違ったのでしょうか?

自信を持ってベンチに座れたという意味で、1回目の金沢戦と甲府戦とはまったくメンタルの状態が違ったと思います。

―第17節の甲府戦の後、第30節の金沢戦までメンバー外になりました。その間にどんなことを思いながら練習に取り組んでいたのでしょうか?

悔しい気持ちを抱えながら、全体練習後にはチョウさん(長島裕明コーチ)に付き合っていただきながら、ヘディング、それからフィードの練習に取り組みました。それを繰り返していく中で、トレーニングマッチの中でアシストをするなど、取り組みの成果というものを少しずつですが、感じることができました。

―生駒選手の武器である、ヘディングとフィードが、その期間でどのようにバージョンアップしたのでしょうか?

ヘディングはもともと得意でしたが、飛ばすヘディング、つなぐヘディングという部分での精度と質が少しは上がったのかなと思います。飛ばすヘディングに関して言えば『打点を見つける』ことを意識してトレーニングしてきました。

―『打点を見つける』とは? もう少し詳しく、教えてください。

ヘディングで叩く地点を自分の真上に設定した場合は、カブる(ボールが頭上を通り過ぎること)可能性が出てきますし、飛んでいる間に相手に体をぶつけられると、バランスを崩しやすくなります。でも、打点を前方に設定すれば、カブる可能性がなくなる上に、前に向かってジャンプするということは、パワーを持っている状態なので、ボールを捉えた時のエネルギーが大きく、ボールを遠くに飛ばすことができますし、そういう体勢のジャンプの場合は、横からのコンタクトに対しても強い状態なんです。それから相手にしてみれば、そうやって勢いを持って飛んでくるディフェンダーは嫌だろうし、特に最初の空中戦でそういうのを見せておくと、相手もビビるからその後の競り合いでも優位に立てるんです。

―打点を見つける作業は難しいのでしょうか?

リーグ戦が過密日程の中で進んでいるので、トレーニングマッチも去年に比べるとかなり少なくて、そういう実戦的な場でないと、その感覚をつかむのが難しかったのですが、僕がメンバー外になってからの居残り練習で、そういうプレーを組み込んだメニューも考えてやってもらえるようになったのが、本当に有り難かったですね。

―フィードに関しては?

味方の足元に入れるボールと、相手の背後に落とすボール、それぞれの精度を高めることに取り組みました。背後に落とすボールに関しては、山口とのトレーニングマッチで得点につながりました。相手ゴールに向かって走る味方選手の目の前にピンポイントで落とすイメージのボールです。

―久しぶりの先発となった第33節の愛媛FC戦でもそんなロングフィードを見せましたよね。

そうですね、レレ君(ディサロ燦シルヴァーノ選手)へのボールですよね。相手のウイングバックが前に出てくるというスカウティングがあったので、そこにできたスペースを狙って蹴ったんですよね。

―何気なく蹴っているように見えて、実は距離感とかスピードを合わせるのが難しいのでは?

低過ぎたらその前にいる相手や、最終ラインの選手にカットされますし、高過ぎても、相手に後ろに下がって対応する時間を与えてしまいますし、ボールにかける回転にも気をつけないと、味方が追いつく前にゴールラインを割りますし、本当に難しいですね。

―今後、身に付けたいキックは?

相手選手の間に立っている味方の足元に落ちるようなパスですかね。例えば僕が右のセンターバックに入った時に、左サイドハーフの選手は結構中央寄りにポジションを取っていることがあるのですが、グラウンダーのパスだとその間にいる相手に取られてしまうけど、その上を越してちょうど左サイドハーフの足元に落ちるようなボールを蹴ることができれば、フィードの種類が増えて、そうすることで相手が読みづらくなると思うんです。僕が色々な種類のキックを持っていると、相手も色々な想定をして動かないといけなくなります。そういう細かいことも、相手に圧力をかけるという意味で大切になる、ということを考えるようになりました。

―キーパーもそうですが、後ろからピッチ全体が見えやすいセンターバックとしては、コーチングも大事なスキルだと思います。

もう誰かに遠慮するようなことはなくなって、声も自然と出るようにはなったと思います。でも、その質がどうかと言われると、まだまだ、だなと思います。特にテラくん(寺岡真弘選手)のコーチングを聞いていると、自分はまだまだだな、と思います。

―何が違うのでしょうか?

とにかく的確です。的確であるためには、自分以外の味方、それから相手のこともちゃんと見えていないといけないわけですし、サッカーというものの理解度も高くないとダメだと思うんです。そういう意味で、テラくんはすごいし、僕はまだまだ足りない、と思いますね。

―話を戻します。アビスパ福岡との開幕戦を先発。リーグ再開後の初戦、第2節のV・ファーレン長崎戦も先発。今季は「行ける!」と思ったのでは?

はい、思いました。

―しかし、その長崎戦で前半40分で交代することになりました。ケガをしたわけでもない交代、かなりのショックを受けたのでは?

相当に落ち込みました。正直、1カ月くらいは練習にも身が入りませんでした。でも、交代させられたことに怒りを覚えるということもありませんでした。振り返れば、ポジショニングを含めて、全体的なプレーが消極的でしたから、交代させられるのも当然。本当に「おれ、何やってんだろう」って感じでした。

―その後、どうやって立ち直っていくんですか?

試合に出ない間に、コーチングスタッフからメンタル面に関して指摘を受けましたし、そこから試合に向けた『気持ちの持って行き方』を自分の中で見つける作業に向かって行きました。

―久しぶりの出場となった第32節のアルビレックス新潟戦で17分間の途中出場、第33節の愛媛戦から第35節・FC琉球戦まで3試合で先発出場。その4試合を見ていて、生駒選手には落ち着きを感じました。メンタル的にも相当に強くなった、ということでしょうか。

まず、新潟戦は本当に久しぶりの出場、愛媛戦からは先発ということで、大丈夫かな、という不安は確かにあったんですけど、それを上回る、試合に出られる嬉しさがあったんです。だから正直、メンタルが強くなったかどうかは自分では分かりません。

―落ち込んでいた時に励みとしたのは何ですか?

チームメイトですね。特にいわゆるサブ組と言われる、出場機会を求めて頑張る周りの選手たちの姿を見ていたら、僕もやらないといけないと、思わせてくれたんです。

―仲の良い髙橋大悟選手は慰めてくれましたか?

慰めるとか、そういうのはしないタイプですね。

―でも、愛媛戦での先発は喜んでいましたよ。

そうですか。あの試合の後、僕よりも周りの人の方が喜んでくれたんですよね。鹿児島の人、屋久島の人。

―屋久島?

去年のオフに大悟の里帰りに合わせて僕も行ったんです。その時に知り合った方々がとても喜んでくれました。

―今回のインタビューが生駒選手だということを知った岡村和哉選手、寺岡選手、それから椿直起選手は、みんなうなづきながら「それは良い」と口を揃えていました。生駒選手が苦しんで戦ってきたことを知っているからでしょうね。苦悩している時期に声をかけてくれたのでは?

逆に気を使ってみんな何も言わない、って感じだと思います。コウケンくん(加藤弘堅選手)は直接的な励ましの言葉ではなくて、自分が若い頃に、2試合連続で早い時間帯に交代させられた時の話をしてくれました。

―第32節・新潟戦から第35節・琉球戦までの自分のパフォーマンスをどう分析していますか?

新潟戦は0−1で負けている状況だったので、セットプレーで点を取りたい気持ちがあったのですが、それができず、そのまま負けて、その上で新潟と順位が入れ替わったというところで、かなり悔しかったですね。久しぶりの出場を喜ぶ感じではありませんでした。

―愛媛戦は?

久しぶりの先発でしたが、新潟戦の前の金沢戦と大宮戦(第31節)の2試合をベンチで、また新潟戦での途中出場で、少し落ち着いて試合に入ることができました。準備してきたものをある程度は出せた、というところで、自信にもなりました。

―その自信が効いたのでしょう、続く栃木戦は抜群の出来でした。エスクデロ龍飛王選手、前回対戦でゴールを決められている明本考浩選手に、後半からは元日本代表の矢野貴章選手と、曲者のフォワードを相手に粘り強く対応しました。

まず、高さというところで「負けたくない」じゃなくて「負けちゃいけない」と思っていたので。あそこで僕が負けていたら相手の策にハマってしまうと思っていましたから、相当に気合は入っていました。特に、その2試合はオカさん(岡村選手)の代わりに僕が出たわけで、僕が出たから負けた、ということがないようにと、そういう意味での気合も入っていました。愛媛戦、栃木戦の後にオカさんからシンプルに「良かった」と言われて嬉しかったですし、少しホッとしました。

―村松航太選手とセンターバックとしてコンビを組んでいます。

コウタくんは何でもできる選手なので、僕のことをめっちゃカバーしてくれるので、とてもやりやすいし、ありがたいです。

―栃木戦ではセットプレーで得意のヘディングからゴールを奪えそうな場面もありました。

オカさんから「決めろよ〜」と言われました。今季のうちに、ヘッドで1点決めたいですね。“匂い“がしてます!

―11月16日の山口のトレーニングマッチ、栃木戦の翌日で試合に出たメンバーはリカバリートレーニングで終わりましたが、その後で見ていましたね。あのゲーム、センターバックの河野貴志選手、佐藤喜生選手が積極的なプレーでアピールしていましたよね。

僕自身、トレーニングマッチをきっかけに出場チャンスが巡ってきたと思っています。だから、いつメンバーが入れ替わってもおかしくない、また自分がメンバー外になる可能性はあるんだ、という危機感を持っていないとダメだと思っています。

―今季も残りわずかです。ここから何を見せますか?

チームの勝利に貢献するようなプレーを見せること。そこに尽きます。

文・島田徹 写真・筒井剛史

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生駒仁選手の一口感想

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生駒仁選手の一口感想
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(次回『シマダノメ 深掘りインタビュー Season2』の第9回目は12月半ばにアップ予定。登場する人物は? お楽しみに!)

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