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シマダノメ

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シマダノメ 第15回 深掘りインタビュー 池元友樹選手

『シマダノメ 深掘りインタビュー』の第15回目は、第26節終了時点においてチームで唯一全試合に出場している池元友樹選手の登場です。長くチームに在籍、ギラヴァンツ北九州の顔と言っていい存在の池元選手の事は「何でも知っているよ」とおっしゃるサポーターの方も大勢いらっしゃると思います。それでも、いやそれだからこそ、経験を重ねた34歳、イケの言葉に滋味を感じるのではないでしょうか。 (取材日=2019年10月10日)。

―ここまでリーグ戦全試合出場。チームで唯一です。
まぁ、時間は短いんですけどね(26試合、計1,848分出場。フル出場は3試合)。去年はケガが多くてあまり出られなかったこと(全32試合中20試合、計1,367分出場)を考えれば、ケガなく試合に向けての準備がしっかりできて、試合に出られて、という1週間の流れをしっかり継続できていることは、この歳になったからこそ特に、だとは思うのですが、喜びや楽しさを含めて、いろいろなことを感じることができているシーズンだと思います。
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―今季は監督、選手、そしてチームスタイルも含めて大きく変化しました。特に攻守において前からアグレッシブに行くという姿勢を開幕からここまで貫いていることは、34歳の池元選手にとっては、肉体的にかなりキツイのではないでしょうか?
自分なりにやれているところはしっかりやれているかな、とは思います。練習からみんなの意識が高くて、それに僕も引っ張られるような形で良いトレーニングができている証だと思います。そうは言っても、みんなに助けてもらっている部分も多いとは分かっています。
―ハードワークを求められ、それに応えているからこそ、全試合出場ができていると思うのですが、『動く』ということに関しても、昔と比べたら“うまく"なっているのでしょうか?
どうですかねぇ。10代の頃と比べればもちろんプレースタイルも含めて変化はあると思いますが、一番変わったのは、考える、頭を使う、ようになったこと。それによって動きにメリハリや効率性が出てきたかもしれませんね。でも、正直、自分では分かりません。
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―フィジカルコンディションに関して言うと、シーズン序盤に「今年から練習後にトレーナーに体を触ってもらうようにした」と話していましたが、その効果が出ているということでしょうか?
毎日、練習後にストレッチやマッサージなどをしてもらっていることもありますし、そこでトレーナーの方が感じた僕の体の状態というものを、フィジカルコーチや監督、コーチとも共有してもらって、強度の高いトレーニングメニューでは本数調整をしてもらうとか、そういう細かいところでスタッフが気にかけてくれて、その積み重ねがコンディション維持につながっているんだろうなという自覚はあります。
―そもそも昨年まで練習後のケアをトレーナーに頼まなかった理由は?
一度やってもらうと毎日お願いしたくなっちゃうだろうと予想したんです。強迫観念っぽくなるのが嫌だったし、僕の体はそこまで必要ないだろうとも考えていました。10年前は体のケアというのは、ほとんどやらなくて、歳を重ねて少しケガが増えてきてから、練習前後のストレッチとか、お風呂で疲労を取るとか、その程度の気遣いをするようにはなっていたんですけどね。
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―ここまでで挙げた得点は「5」。この数字をどう捉えていますか?去年の総得点が同じ「5」でした。
去年はケガが多くて休んでいる期間が多くて、「気づいたら5点取っていた」という感じでした。今年も“気づいたら"という表現は近いものはあるのですが、根本のところが少し違っていて…。
―どういうふうに?
去年は開幕前にケガをしてスタートに出遅れて、中盤戦あたりから出られるようになったのですが、「試合に入れていない」、「参加できていない」という感覚がずっと続いていました。途中でまたケガをして少し休んでまた出始めた終盤戦も同じような感覚の中でやっていたので、自分の中で満足感を得られないうちに、“いつの間にか"、“気づいたら"5ゴールが取れていたという感じでした。
―それが今年は?
さきほども話したように、ケガなくしっかりと練習と試合をしていく流れは、僕に大きな充実感をもたらしてくれています。去年と比べれば、試合にもかかわることができていると思いますし、その中でチームとしての結果にも多少なりとも貢献できているという自負もあります。もちろんこれだけの試合に出ていて5ゴールが低い数字であることは自覚しているのですが、去年の自分の状況やまたチームの状態を含めて考えると、充実度という点で雲泥の差があります。だからゴール数には満足していないのですが、そのほかの充実感が大きく、数字をそれほど気にしていないという状態にあるという意味での「あっ、気づいたら5ゴールか」ということなんです。でも逆に、その充実感の中に身を置いているから5点で終わっていると言えるのかもしれませんね。充実している中で、もっとどん欲にゴールを奪いに行く姿勢が必要だということかもしれません。
―数字的に「5」で満足してはいけないということですが、その数字は、得点以外の部分での役割の比重が増しているから、でもあるのでは?
そこは自分でも少し感じるところはあって、得点以外の働きをしたい、しなければという思いの中で、かなり考えてプレーするようになっているのは事実です。でも、試合の中、ふとした時に考えることがあるんです。若い時は「これだ」と自分が思うプレーを、ただがむしゃらに、思い切りよくやっていたのですが、今でもああいう感覚が自分は好きなんだよなぁ、って。今年も何試合かそんなふうに感じたことがあったんですよ。失敗した後でも味方に向かって「オレにパスを出せよ!」という姿勢を見せながら、ただどん欲にゴールに向かう。そういうプレーって、やっぱり僕は好きなんです。でも、そういう感覚って、チームのためや、自分が長くこの場所で生きていくために、徐々に削っていったものの一つでもあるんです。そして実際は、そうやって削っていったから今の歳になるまでプレーできているんだと思うし、そうして良かったとも思う。以前のままのスタイルだと今、こうしてプレーしていることはなかっただろうとも思う。だけど、心の中には「ゴール、ゴール、ゴール」という自分をけしかけるような声が聞こえる時もある。だから今もまさに葛藤の中にいる。でも、その葛藤も実は楽しんでいたりするんです。
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―若いころとの比較で言えば、体のキレとかにも変化を感じるでしょう?
もちろんですね。若い時なら何も考えずに仕掛けていたはずの場面でも、「この距離感は無理かな」と思って、頭を上げて味方の姿を探すようにもなる。若い頃と同じプレーができなくなった、しなくなった自分を少し物足りなく感じるけれど、でも、頭を上げて周りを見ることでチームにプラスをもたらしていることもあるんですよね。
―ディサロ燦シルヴァーノ選手、町野修斗選手、佐藤颯汰選手、そして途中加入の北川柊斗選手たち若いフォワードを見て、何を感じますか?
いやぁ、ホント、うらやましい!シンジさん(小林伸二監督)がギラヴァンツ北九州に来ることが決まった時に、いろいろな人から「あの人が監督になったチームのフォワードって伸びるんだよね」と言われていて、実際、レレとかソウタ、マチもそうですけど、最初の頃と比べたら明らかに変わっているし、良くなっているし、プレーの幅が広がっている。シンジさんの指導力もありながら、彼らの若さゆえの吸収力でもあるんでしょうね、その変わりようが僕にはうらやましい。
―うらやましく思うだけですか?
もちろん、新しい選手のプレースタイル、そして彼らの変化を見ることを僕は良い刺激にしています。そこに良い循環がある。
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―小林監督に何かを言われ、それによって自分が変わることができた、ということはありましたか?
ここまでの試合で唯一先発から外れたのが、第11節のY.S.C.C.横浜戦でした。その試合で僕をベンチスタートとさせることを決めたシンジさんが話をしてくれました。若い時の僕は経験もなく、小細工なしに、ただ思い切り足を振り抜いてシュートを打っていました。けれど、歳を重ね、経験を積んでいくと、「あ、こういうシュートもあるんだ」と、いろいろなシュートを研究していき、それが生きてゴールができたこともたくさんある。でも、そのYS横浜戦の前あたりの自分は、そういう経験がアダになるじゃないんですけど、足を振り抜く、ということを忘れていて。それを見ていた監督が「何も考えずに、足を振り抜いて打つことも大事なんじゃないか」という話をしてくれて、そのYS横浜戦は後半から出してもらって、そこで監督の言う通りに、何も考えずに振り抜いたシュートが先制ゴールになった。それを機に、昔の感覚を思い出しつつ、でも、これまで積み重ねてきた技術も意識しつつ、と、その2つを良いバランスでプレーとして出そうと意識するようになった。それが一つの変化だと思います。
―小林監督の技術指導は実に細やかです。
ヒザの使い方に始まって、体の向きや、ボールの置きどころなど、おそらく自分くらいの年齢の選手なら当然分かっているだろうということで、シンジさんもあえて僕には言ってくれないんだと思うのですが、実際は分かっているようで、そうすることで何が自分のプレーにプラスになるかを分かっていないことも多いので、若手への指示は僕も耳を立てて聞いているんです(笑)。
―去年は最下位、今年は上位争いを演じているわけですが、選手としての幸福度も当然違うでしょう?
もちろんですね。周りの見方も明らかに違うし、それでスタジアムの雰囲気も違ってくる。おそらく、僕らへのサポートが結果に出ていることでサポーターの皆さんも幸せな気持ちになってくれているんだと思いますし、それを見て、感じる僕らもまた幸せな気持ちでいられる。そうやってお互いの気持ちが通じることで、今は本当に良い雰囲気の中で戦えていると思います。
―2017年に人生初のキャプテンを務めました。その経験は今も生きていますか?
あの年は1年でのJ2復帰を目指そうという強い意欲の中で、何かしら自分も行動を起こさないといけないと思って、いろいろと考えました。特にそれまで自分の思いを言葉にして伝える機会は多くなかったのですが、キャプテンとなるとそういう場面が増えて、例えば、昔から僕らを支えてくれているサポーターの方々へ感謝の思いを実際に言葉にすることで、そういう人たちの気持ちを改めて理解し、感じることができました。その経験って、今でも生きているし、本当に良い経験だったなと思います。そして、サポーターの方々だけではなく、会社やそこで僕らを支えてくれているスタッフの方々とのコミュニケーションって本当に大事なんだなと思えたのは、キャプテンを務めたあの1年での経験があるからだと思います。
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―肩書というのは人としての成長を促すことにもなるんですね?
言葉で何かを伝えなきゃいけない立場って、自分の言葉に責任を持たなきゃいけないし、そのために本当によく考えてから口に出さなきゃいけないということで、大変なことではあるんだけど、その分、成長もできるんだってことがよく分かりましたね。
―奥様からも「変わったね」と言われるのでは?
言われませんねぇ、僕のこと、そんなに見てくれていないのかも!
―以前から聞きたいと思っていたこと。東福岡高校における先輩でもある本山雅志選手は池元選手にとってどんな存在ですか?
モトさん!人としてはとてもフランクな人です。そうやって接してもらっている僕らが「モトさん、あなたは、そんな接し方をしなくてもいい人なんですよ!」って言いたくなるくらい素晴らしい選手で、人なんですけどね。今、僕が一番思うのは、とにかく試合で一緒にプレーしたいということ。同時にピッチに立ったのはJ3に降格した2016年に数試合、というところでしょう。お互いにケガが重なったこともあるし、お互いがプレーできる状態の時は、僕とモトさんが代わる、っていうパターンも多かった。モトさんと同じ試合に出られるんなら、少々のケガなら黙ってピッチに立つし、もし僕の足がつってモトさんと交代することになりそうだったら、絶対に「大丈夫、やる!」って言うと思う。それくらい、一緒の試合に出たい。ほんと、特別な存在ですよ。
―さて、シーズンも残りわずかです。何を僕らに何を見せてくれますか?
上位チームとの対戦が残っています。そういう大事な試合でゴールを決めたい。僕のゴールを見せます。
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文・島田徹 写真・筒井剛史

(次回シマダノメ『深掘りインタビュー』の第16回目は10月末にアップ予定。登場する人物は?お楽しみに!)

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