SHINMOJI NOW新門司NOW

新門司NOW 第6回
皆で喜び合いたい!福森 健太 選手

島原で行っていた夏季キャンプの終盤、願ってもない朗報が届いた。ご存知の通り、2019・2020シーズンの大躍進を支えた福森 健太選手が大分トリニータから期限付き移籍という形ながら、ギラヴァンツ北九州に”帰還”することになったのだ。 本日8月1日よりチームに合流した福森選手に、移籍の決断を下した心境や合流初日の練習を終えた感想、後半戦の抱負について聞いた。

昨季終了後、プロとしてのスタートを切った愛着ある北九州と、J1でプレーできる大分、どちらに進むかを悩んだが、『J1でチャレンジしたい』という自身の素直な気持ちに従い、ステップアップを図った。高いレベルでプレーしたいという福森選手にとって、今回の決断も容易ではなかっただろう。

「確か7月初頭に北九州から話をいただきました。僕自身その時はいい状況ではなかったんですけど、昨シーズンはJ1にチャレンジしたいという強い気持ちでプレーしてきて、その権利を得ての今シーズンだったので、北九州への移籍について正直ものすごく迷ったのは確かです。結局決断したのは23、24日あたりで、大分の方も僕の意見を聞き入れてくれました」

福森選手と言えば、高い向上心と反骨心も大きな武器。2019・2020シーズンも、開幕戦こそスタメンではなかったが、シーズン中にポジションを奪い、不動の地位を築いた。その印象が強かったため、大分でも後半戦でスタメンの座を奪うべくチャレンジするのだろうと思っていたので、今回の決断については少し意外だった。

「心の中では北九州に戻った方がいいと思っていたんです。ただ、せっかくJ1でチャレンジできていたし、僕も今までポジションを奪い返してきた経験もあったので、あと半年やり切ることも考えました。だけど、いろいろなことを考えた時、大分であと半年頑張っても、自分らしくプレーできるイメージが正直沸かなくて…。そこで、一番尊敬していて悩んだ時にはいつも相談している中学時代の監督に電話したところ、『お前が一番何を大事にしているか、お前の価値観で判断しなさい』と言ってくれました。僕にとって一番大事なことを考えると、サッカー自体を楽しむことや没頭すること、極端に言えば24時間サッカーのことを考えて、サッカーに生きること。サッカーを突き詰めてピッチで結果を出すのが自分にとって一番好きな瞬間なんだということを、監督と話していて改めて思いました。上を目指すことと、自分のそういった感情を大事にすることを天秤にかけて、今は後者の方が大事でそれを大分で得ることは難しいと思ったし、北九州に戻れば知っている選手やスタッフのもとでやれて自分らしくサッカーに没頭できると思いました。もちろん、カテゴリーは下がってしまうけれど、もう一回努力してJ1に行けるための移籍にしようと思って決断しました」

合流初日となった今日の練習。全体練習が始まる前に、一人ボールを蹴りながら黙々とアップをする福森選手の姿があった。練習中も我々の知っている福森選手のプレーを見せてくれたし、チームメートたちと積極的にコミュニケーションをとる姿も見られた。チームへのフィットも問題なさそうだが、違うチーム、しかもカテゴリーが上のチームでプレーしていたからこそ感じる部分もあったようだ。

「大分と北九州ではスタイルが少し違いますが、半年J1でプレーしてきた感覚でいくと、プレッシャーのスピードとかもっと突き詰められるなという部分は感じました。僕自身もその基準を忘れないようにプレーしたいし、チームメートにも求めていきたい。そうすれば僕自身も成長できるしチームの力にもなれるかなと思いました」

「今なかなか勝てていないのは、新しい選手が多く入ってきたことで戦術理解がうまくいっていないことが大きいんだろうと思います。大分も今年の北九州と同じような状況で、カタさん(大分・片野坂監督)も苦労しているのではないかと思っているんですけど。皆ポテンシャルはあると思うし、一個歯車が合えば、きっかけがあればうまく回ると思うんです。だから僕が何か一つ、歯車をかみ合わせられるような仕事をできればいいなと思っています」

最後に、まもなく再開するリーグの後半戦に向けての抱負とサポーターの皆さんへのメッセージを聞いた。

「僕も大分でうまくいかずに北九州に来て、悔しい気持ちがあります。ただ、過去を振り返ってみると、自分の感情を出せている時にいいパフォーマンスが出せているし、もう一回そういうところを大事にして、自分の求めているサッカー選手像を表現して、自分のありたい姿を出せるように、まずは練習からしっかりやっていきたいです。
あとはやっぱり勝ちたい、ミクスタで勝ちたい! 先日、去年の開幕戦でサポーターが応援練習している動画を見ました。今はコロナでああいう形では難しいかもしれないけど、ミクスタで勝って皆さんと一緒に喜べたら本当にいいなって、その動画を見ながら思って。今年は大分でもなかなか勝てなかったし、北九州も勝てていない状況なので…。
とにかく、選手・スタッフ・会社・サポーターの皆さん含め一丸になって戦って、みんなで喜び合いたいという気持ちがいまはすごく強いので、ぜひともアツイ応援をよろしくお願いします!」

移籍後の半年間いろいろな経験を重ね、さらに凛々しい姿になった福森選手の存在は、何かがズレてうまく回らなかった歯車にとって、これ以上ない潤滑油になるだろう。北九州のいい時も悪い時も知り尽くすサイドのスペシャリストが、この夏のミクスタに歓喜をもたらしてくれるはずだ。