SHINMOJI NOW新門司NOW

新門司NOW 第2回
村松航太 選手

もっと選手の、チームの"いま"を伝えるコラム『新門司NOW』。 第2回目は、今季キャプテンを務めるDF5 村松 航太選手が行った"提案"について取り上げます。

先週のトレーニング後、村松選手に突然声をかけられた。
「相談があるんですけど…」。内容は以下の通り。

「練習を公開できませんか? 藁にすがってでも、何かを変えないといけないと思っていて…。オフ明けにメディアの方が多く来ていて、それだけで練習の雰囲気が変わりましたし、ましてや見てくれる人が応援してくれるサポーターなら、もっと選手のモチベーションも上がるはず。だから、まずは公開練習をやってみたいんです」

6月に入り公式戦で3連敗していた状況もあり、なんとかしなければならないというキャプテンとしての責任感から出たであろうものだった。

実は5月上旬、北九州では新型コロナウイルスの新規陽性者数が落ち着いていたタイミングだったこともあり、同月中旬での練習公開を計画していた。だが、まもなく福岡県でも緊急事態宣言が発出される状況になってしまったこともあり、一旦公開を見送っていた。村松キャプテンの提案を受けたのち、6月20日をもって福岡県で緊急事態宣言が解除されることもあり、入念に段取りをしたうえで”6月末の”練習公開を想定していた。
だが、第19節愛媛戦で順位が一つ下の相手に敗れたという重い結果を受け、試合直後に村松選手と話をし、急遽23日に前倒そうという話になった。小林 伸二監督をはじめチームスタッフも「ぜひやろう!」と後押ししてくれたほか、新門司体育施設の方も理解を示してくれた。

明らかに変わったトレーニングの雰囲気

はたして、23日のトレーニングは今季初となる一般公開となった。100名を超える募集の中から当選した50名のサポーターが見守る中、今までとは明らかに違う光景が新門司には広がっていた。声もよく出て、一つ一つのプレーに集中する選手たちの姿があった。

「やはり声が出ているというのは感じたし、練習のセッション間の移動を含めてキビキビして集中力もあったと思います」

グラウンド内でもやはり”違い”を感じられたようだった。村松キャプテンのねらいがしっかりと当たった。

「もし勝っていたら、コーチングスタッフもいちいち細かいところまで言わないと思う。けど負けているからこそ、プレー以外のいろいろなところ…さっき言った練習間の移動とかも含めて、他の部分にも目が行っちゃうと思うんです。それがいつもと違う刺激を入れることで、いい緊張感を得られるのではないかと思って練習の公開を提案しましたが、今日はすごくよかったと思います」

サポーターの目という刺激が入ったことで、次節千葉戦に向けた3日間のトレーニングを幸先よくスタートできたことは間違いない。だからこそ、村松選手が考えるのは残り2日、とりわけ明日の練習の重要性だ。

「サポーターがいない明日の練習のテンションは、どうしても今日より落ちると思うけど、どれだけ今日の状態をキープできるか。見られてはいないけど、今日味わった緊張感や楽しさ、応援されている感を持ちながらやることが重要。今日感じたことって、コロナ禍だから感じられる、ある意味貴重なモノだと思うんです。だって以前は練習見学が当たり前でしたからね。
今日感じたこと、どんな時でも応援してくれる人がいるということ、急に募集して平日なのにあれだけの人が来てくれたっていうことを、一人一人がしっかり考えられていればいいと思います。そうすれば、明日お客さんが来ていなくても、そういう緊張感を出せるかなと。明日が今日とのギャップを一番感じる日だと思うので、もし明日緩かったら僕も言わないといけないけど、今日のままの緊張感で皆が明日の練習に入ってくれたらと思います」

最後に、サポーターへのメッセージと意気込みを聞いた。

「やはり見る人がいることで気持ちが引き締まるというか、普段とは違った緊張感がありました。それはプロサッカー選手としてはプラスになる緊張感だったから、これからも定期的に練習公開をやれたらと思っています。それに練習を見ていただけることで応援されているっていうのを改めて実感できました。ほとんどのクラブが練習を公開できていない中でこうやって来ていただいて、身近に応援していただいて、それがすごく力になりました。僕らはこれをしっかり結果で返すしかないです。まずは次の千葉戦で勝てるようにやります」

決して雄弁タイプなキャプテンではない。だが、チームを何とかしたい、この状況を変えたいと、誰よりも強く願い行動に移しているのは村松選手だ。今回の件に限らず、さまざまな場面でそういう姿を見かける(詳しくは別の機会にお伝えできれば…)。そんな彼が『藁にもすがる思いで』提案してくれた公開練習という小さなきっかけが、11月末にシーズンを振り返るうえで非常に大きなターニングポイントだったと言えるような、そんな未来を信じたい。まずは次節千葉戦、サポーターの皆さんも含めた全員の力で、勝利を。