2022.6.19SUN13:00
Jヴィレッジスタジアム
AWAY
試合終了

いわきFC
-
前半
後半
-

ギラヴァンツ北九州
- スタジアム
- 入場者数
- 天候/気温/湿度
- 主審
- 副審
- 第四の審判員
MEMBERメンバー
REPORT試合経過
DATAデータ
-
前節の福島ユナイテッドFC戦を1-1で引き分けて連敗を3で止めることに成功しました。失点場面を「戦術的な問題があった」と反省した天野賢一監督ですが、一方で「(勝利が先行した第4節のころに)近づいてきた」との手ごたえも感じている様子でした。
シーズン序盤にしっかりと表現できていた前向きな守備と積極的な攻撃を90分通してとはいかないまでもピッチ上で表現できるところにまで回復してきたということです。
この手ごたえを今週末の一戦で確かなものとして一気に反撃に出たいところですが、相手は強敵です。事はそう簡単には運びそうにありません。
いわきFCはリーグの首位に立つチーム。現在3連勝中、6戦負けなしと好調を維持。前節の讃岐戦は先制を許しながら後半序盤にFKを直接沈めて追いつくと、後半アディショナルタイムにはCKの流れから逆転ゴールを決めるという劇的勝利を収めて勢いが増していると予想できます。
昨季のJFLを制して今季からJ3に参戦したばかりのチームですが、村主博正監督の下、攻守でハードワークを実践、球際の争いでしっかりと戦い、攻守の切り替えを素早く行うなど、ギラヴァンツ北九州も同様に表現しようと努めている戦いのベースとなる要素を90分通してしっかり表現することで勝点を積み上げています。
システムはギラヴァンツ北九州と同じ[4-4-2]です。スタイルとしてはまずはロングボールを相手最終ラインの背後の、中央とサイドのスペースをめがけて入れておき、そこからサッカーをスタート。連動性の高いプレスを掛け、そこでボールを奪って素早く相手ゴールに迫ります。
そういうスタイルを取るチームは多いのですが、いわきが相手を困らせるだけの高い質でそれらを表現できているのは、戦術の理解度、浸透度、それからハードワークや一体感がほかのチームよりも優れているからです。その結果として首位、リーグ最多得点、リーグ最少失点という実績を出しているのです。
天野監督が「首位に立っているのですから良いチームであるのは当然のことです」と、その実力を認めるいわきとのゲームでは何がポイントになるのでしょうか。
まず、相手のリズムで試合を進めさせないようにすること。そのために、攻撃のスタートとなるロングボールへの対応が第一のポイントになります。中央とサイドのスペースにバランスよく入れ込んで来るロングボールを最終ラインの選手たちがしっかりと跳ね返すこと。
そしてロングボールが跳ね返されることも想定した、いわきのセカンドボール回収を中盤の選手の鋭い読みと反応で制限すること。
さらに、セカンドボール回収に失敗したことを想定した上で、いわきが掛けてくるプレッシング回避のための行動も大事。グループとして素早く良いポジションを取って複数のパスコースをつくってプレスをかいくぐれるかどうかもポイント。
そうやっていわきが得意とするスタイルを発揮させないことでゲームの主導権を自分たちのものとすることが、まずは大事になるはずです。
その上で勝利をつかむためには得点が必要になります。第5節から6試合連続無得点とうまくいかなかった攻撃も第11節・相模原戦で2得点、前節の福島戦で1得点と回復が認められます。
天野監督は「幅が広がりつつある」との言葉で攻撃力回復を表現していますが、背後を狙う、それによって生まれるギャップを突くなど、ボールを前進させた後の崩しの部分でのグループとしての意識共有が高まってきたこと、それを相手の出方を見て選んでいく部分での表現力が向上したとの手ごたえを感じています。
好転しつつある攻撃をさらに迫力あるものにするためのヒントを前節の福島戦で見出した選手がいます。福島戦を警告累積で出場停止、スタンドから観戦した髙澤優也選手です。
「すごく良いリズムでボールが動く、そういう場面が後半は増えたように思います。でも、相手のペナルティーエリア付近でワンタッチプレーが少なかった。そこが増えれば複数得点も取れるんじゃないかと思いました」
そして「ハードワークの必要性も再認識できました。疲労もあって少しずつそこのレベルが低下したことで特に攻撃面でのあと一押しができないように見えました」とも。
「ある意味、新鮮だった」スタンド観戦でヒントをつかんだ髙澤選手は13日のレノファ山口とのトレーニングマッチで1得点を挙げています。
公式戦ではありませんが実戦でゴールを挙げることはストライカーにとって非常に大事なこと。髙澤選手が今節の注目選手の一人であることは間違いありません。
皆さんが気になるのは福島戦で負傷交代となった針谷岳晃選手の状態でしょう。詳しい診断結果が未発表なのでいわき戦での出場の可否は不明です。もし、離脱となればチームにとって痛手であることは事実です。
天野監督はしかし、前節での高澤選手の出場停止に触れて発した「ピンチはチャンス」との言葉を再度口にしています。
そして「どうなるにせよ、出番をつかんだ選手は針谷とは特徴が異なるはずで、その特徴を生かす努力を私も仲間もしていきたい」と続けました。
代わりに出る選手にとってはチャンスですし、このピンチを皆で乗り越えることができれば、あるいは乗り越えようと努めることができればチームが成長するチャンスとなる。そういう前向きな姿勢をチームとして持ちたいものです。
例えば永野雄大選手あたりは、いわき戦でのメンバー候補の一人でしょう。「狭いスペースに入っていってボールを受け、そこからショートパスで攻撃のリズムをつくる」ことが針谷選手と異なる自分の持ち味だと自認する永野選手は今季に入って守備力向上が顕著です。
「中盤のポジション争いは厳しい。そこで勝ち抜くために、守備力を磨き、アピールしたいと考えています。もともと足を動かすことには自信があるので、ボールへ厳しく寄せる、その後のプレスバックやスペースを埋めるプレーも意識して取り組んでいます」
前記のようにいわき戦では中盤でのセカンドボール回収がキーポイントの一つになるので、永野選手が向上に努めている守備力を発揮してチームに貢献できるチャンスでもあります。
「相手はリスペクトに値するチーム。しかし勝つチャンスは十分にあります」と天野監督。前節に続く福島県を本拠とするチームは首位、しかもアウェイの地で行われるので難しいゲームになるでしょう。
しかしこうも言えます。だからこそチャレンジ精神を発揮しやすい、と。選手たちが首位チームに対して90分間挑み続ける姿勢を期待します!
[文:島田 徹]
MATCH DATA マッチデータ
STATS スタッツ



THE LAST TIME STARTING LINEUP
GK | 31 | 鹿野 修平 |
DF | 2 | 嵯峨 理久 |
DF | 15 | 家泉 怜依 |
DF | 4 | 星 キョーワァン |
DF | 8 | 日高 大 |
MF | 19 | 岩渕 弘人 |
MF | 6 | 宮本 英治 |
MF | 24 | 山下 優人 |
MF | 9 | 鈴木 翔大 |
FW | 10 | 有馬 幸太郎 |
FW | 34 | 古川 大悟 |
THE LAST TIME STARTING LINEUP
GK | 27 | 田中 悠也 |
DF | 4 | 河野 貴志 |
DF | 22 | 永田 拓也 |
DF | 23 | 藤原 広太朗 |
DF | 44 | 藤谷 壮 |
MF | 7 | 佐藤 亮 |
MF | 8 | 六平 光成 |
MF | 17 | 針谷 岳晃 |
MF | 18 | 中山 雄希 |
FW | 9 | 狩土名 禅 |
FW | 13 | 前川 大河 |
RADAR CHART レーダーチャート


PATTERN 得点パターン


RANKING 得点ランキング


HOT ZONE ホットゾーン


COMMENT 試合前コメント
MANAGER
天野 賢一Kenichi AMANO

「福島戦でテーマとして掲げていたのは、ハードワークと攻守においてコンパクトにプレーすることでした。攻撃で言うと相模原戦ではロングボールが増えて間延びしてしまったので、元々あった距離感でプレーすることは意識していましたし、その点は選手たちも手ごたえがあったのではないかと思います。
どうしても失点してしまっているので、ゴール前の粘り強さなどはもう一つ突き詰めないといけないですが、攻撃は少し幅が広がって見えてきていると思いますし、次のいわきさんもプレッシャーをかけてくると思うので、そこをどうかいくぐって裏のスペースを取りに行くかというところを選手たちと共有してやれれば勝ちに繋げられるのではないかと考えています。
相手は首位だし間違いなく良いチームです。福島さんもそうでしたが、今の立ち位置からすれば我々はしっかりチャレンジ精神をもってやることが大事ですし、ハードワークの面で負けないこと、その上で自分たちの色を出していくことをやりたい。先ほども言ったように、相手は前から組織的に激しくプレッシャーに来ると思いますが、それを剥がし前進して、相手の背中を取ってゴールに向かう。失ったらすぐに切り替えて守備をできるようなコンパクトさを保つ、そんな試合にしたいです」
PLAYER

田中悠也Yuya TANAKA
「前回出場した天皇杯の鹿児島戦ではビルドアップのミスから失点を重ねてしまいましたが、僕も含めてチームとしてビルドアップを意識するあまり各々が近いポジションを取ってしまい、相手のラインが高かったら裏を取るのが一つの選択肢としてあると思うんですが、それを持てなかった。福島戦では、前半こそ少なかったんですけど後半はセンターバックやサイドバックの選手がボールを持った時に裏に抜ける選手が出てきてくれて、そこに出したり、相手のディフェンスラインが下がったことによって空くスペースにボールを入れられたりしたので、それで自分たちのリズムをつかみ始めたのかなと思います。
勝ちをつかむために、技術面においては今までもやってきているので、あとは気持ちの面が大事かなと。自分のためだけではなくチームのためにあと一歩足を動かすとか、そういうことが最終的にゴールを取れたり失点を防げたりというところにつながると思うので、チームへの献身性をどれだけ持てるかだと思います。ピッチ内ではどのチーム・選手だって一生懸命にやっていると思いますが、ピッチ外の部分で1日24時間ある内どれだけサッカーのために注げているかという、その時間を各々が少しでも増やせれば少しずつ勝つチームに変わっていけるんじゃないかと思います。
いわきさんは長いボールが多い分、後ろの選手が弾くことやセカンドボール・球際の部分はもちろん、先ほど言ったような気持ちの部分も大事にしているので、そういう部分で僕たちが上回ることができて勝って次に進めたなら、チームの状態としては上向いていくのではないかと思います。僕はGKとしてなるべくゼロで終わらせることを考え、もし失点したとしても最少失点で終わらせること。チームを勝たせるため、どうしたら失点を防げるか、失点のリスクを減らすにはどうすればよいかを考えてやっていければと思います」
PLAYER

藤原広太朗Kotaro FUJIWARA
「ここ数試合、勝てないことによって消極的になったり、ボールを失わないようロングボール主体となってしまっていて、自分たちの良さが出せていなかったのですが、福島戦では距離感をよくすることやビビらずにボールを繋いでいくということを表現できたのかなと思っています。
その上で勝ちを持ってくるためには、先制点を取ることと最後の部分でのボールの質、パスの質にこだわらないといけないと思いますが、流れの中での点が増えて行けばパス・シュート共に自ずと良くなっていくんじゃないかという感じもあります。負けが続くと、こういう部分が消極的になるしミスにならないプレーを選択しがちになってしまうので、そうならずポジティブに、積極的にプレーしていくことが大事かなと思います。
いわきはロングボールが多いので、弾くところと繋ぐところの判断をしっかりしないといけないです。ただ弾いたりクリアするだけだと、なかなか自分たちの時間にならないので、その判断は一つ一つ大事になってくると思います。どの試合でもそうですが球際や闘う姿勢は大事で、ネガティブになってはいけません。順位はありますけどまずは自分たちがどう戦うか、どう表現していくかが大事。どこと対戦しても勝てない試合はないと思うので、自信をもってやれればと思います」
COMMENT監督コメント
MANAGER
天野 賢一Kenichi AMANO

[試合総括]
いわきさんは首位のチームということで、攻守において非常に積極的で、狙いがはっきりしているチームでした。長いボールを効果的に使いそのセカンドボールを拾い、またそれを前線につなげ、人数をかけてゴール前に入ってくる。セットプレーも脅威ですし、前からのプレッシングも脅威ということで我々は準備をしてきました。
押し込まれる時間帯が長かったのは、我々がいわきさんのやってくることに対して上回れなかった部分が多かったからだと思っています。
前半に少し相手のプレッシャーをいなして一気に裏返せるようなシーンもいくつかあったと思いますが、狙っていた数ではなかったし、その精度も低かったと思うので、現状の我々の力としては及ばなかった部分があったと思います。選手達は狙いを持ってやってくれていたので、そこの質を上げていくようにやっていければと思っています。ピッチが濡れていなかったことも要因の1つだったと思うんですが、これは戦略的に水をまかないということだと思うので、こういうピッチの中でも厳しいプレッシャーのチームを外せるようなチームになるためにトレーニングをしていきたいと思います。
失点部分は反省しないといけないですが、同点に追いつける力がついてきたということはポジティブに捉えて、次のホームのゲームで結果を出せるように準備していきたいと思います。
COMMENT選手コメント
PLAYER

田中 悠也Yuya TANAKA
0-2になった後も選手全員が諦めずに点を取りに行った結果、追いつくことができて、チームとしてはポジティブな勝点1かと思います。ただ、自分的には前節も失点してしまっていますし、失点をしているようでは簡単には勝てないと思うので、次の試合はゼロに抑えられるようにやっていきたいです。うまく抑えられた場面もあったとは思いますが、キーパーとしてはすべて抑えることを考えないといけないし、失点してしまっている以上はしっかり自己分析して反省しなければいけません。
いわきさんは事前のスカウティングにあった通り球際や運動量などのサッカーの1番のベースのところをすごく大事にしているチームだなと感じましたし、自分達としても学ばなければいけない部分があると思います。福島・いわきと上位相手に勝点1を取ることができましたが勝てていないので、次はホームですしチーム全員で勝点3を取りたいです。そこで自分が失点ゼロで貢献できれば一番良いと思っています。
PLAYER

髙澤 優也Yuya TAKAZAWA
前半はなかなかチャンスがなくて苦しい試合展開でしたし、2点取られてしまいましたが、自分達もアウェイで負けて帰る訳にはいかなかった。自分としても今治戦から点が取れていなかったこともありましたし、こうして点を取って追いつけたことはポジティブに捉えたいと思います。ただ、同点に追いつきたいというよりは、勝ちにいきたかったので結果的に引き分けで終わって悔しい気持ちでいっぱいです。
いわきさんはロングボールが多くて前に強い、自分がイメージしていた通りのチームでした。首位にいるチームなのもあって、個々のレベルが高いと感じましたし、プレーの強度などがすごく高いチームだと思います。
自分たちのサッカーを表現するために、選手間の距離感というのはもう少し縮めてもいいのではないかという感じはしましたし、自分が中盤で奪われるシーンが今日も何回かあったのでプレーを見つめ直して向上していければと思います。